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基本講座「より強い企業を目指して」

まずは復習です。損益分岐点とは、限界利益から固定費を差引くと利益がまったく残らない、限界利益=固定費となる売上高でしたね。

  売上高−変動費−固定費=経常利益0
  売上高−変動費=固定費(+経常利益0)
  限界利益=固定費

  損益分岐点売上高=固定費/限界利益率

●また経営安全率とは、売上が何%減少したら、損益分岐点すなわち経常利益がゼロになるか、という経営の安全度を示す指標です。これもOKですね。

  経営安全率=(1−損益分岐点売上高/実際の売上高)×100%  

●そこで今回のテーマ「より強い企業を目指して」のお話です。それでは、経営の安全度を高めて、不況下で、かりに売上が下がったとしても、しっかりと利益のとれる筋肉質の企業にするには、どうすればいいのでしょうか。

  上記の経営安全率の算式から

  処方箋1.損益分岐点売上高を下げる。
  処方箋2.実際の売上高を上げる。
  によって、経営安全率が高くなることがわかります。

さらに、「処方箋1.損益分岐点売上高を下げる」は、
損益分岐点売上高=固定費/限界利益率(または1−変動費率)を下げるということから、限界利益率を上げる(変動費率を下げる)と固定費を下げる、に分解して考えることが出来ます。

●限界利益率を上げる(変動費率を下げる)は

  処方箋1−1.販売単価の引き上げ
  処方箋1−2.販売ロス(値引き・返品)の削減
  処方箋1−3.材料・商品仕入高、外注加工費の単価引き下げ
  処方箋1−4.製造業の場合、材料使用料の節減、外注の内製化
  処方箋1−5.商品ミックスの最適化
  処方箋1−6.直販体制の確立
  などをチェックしてみてください。

●固定費を下げるは

ひとことで言うと、ムダな経費を使わないことです。よくあるのが、今期は経費一律20%カットなどのキャッチフレーズで行なわれる経費節減のパターンです。これは本当に必要な経費とムダな経費とを選別できませんので、お勧めしません。

ここで重要なのは、会社にとって何がムダなのか、ゼロベースで考えてみることです。勘定科目ごとに、摘要別集計をして、必要額を積上げるなりして考えてみてください。

●また、「処方箋2.実際の売上高を上げる」については、売上高を分解して売上高=販売単価×数量で考えると、販売単価アップか数量アップで売上増が図れることがわかります。

  販売単価のほうは
  処方箋2−1.(既存商品・顧客の)販売単価の引き上げ
  処方箋2−2.新商品の開発

  数量のほうは
  処方箋2−3.(既存商品・顧客の)販売数量の引き上げ
  処方箋2−4.新規顧客の開拓
  などがポイントとなります。 

●今回は経営安全率の向上をテーマにお話しましたが、会社の利益を増大させるために何をするかという切り口も、この話と同じです。すなわち、販売単価または数量アップによる売上増、限界利益率の向上、固定費の削減これらの3つの切り口による経営改善が利益増に直結します。

  1.売上増
  2.限界利益率の向上
  3.固定費削減

  ぜひ現場の経営に活用してみてください。

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